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ユーミンの楽曲で彩る『ガールフレンズ』が華原朋美の伸びやかな歌声とともに開幕

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『ガールフレンズ』公演より。左から宮 菜穂子、華原朋美、池田有希子、杵鞭麻衣

ユーミン(松任谷由実)の歌のみ30数曲を使って、二人の女友達の恋と友情を描く意欲作、ユーミンソング・ミュージカル『ガールフレンズ』が、12月1日 (金)、博品館劇場で幕を開けた。主人公は内気でピュアな真理子にＷキャストで華原朋美と堀内敬子、恋愛に積極的な裕子に池田有希子という実力派同士の顔合わせ。誰もが覚えのある平凡な日々を独自の視点で爽やかに、時にリアルに切り取ってみせるユーミンの世界観を、セリフを一切用いず展開するという注目の舞台。本番は予想外の楽しさに満ちたステージが実現した。

物語は裕子の結婚式前夜、真理子が学生時代を思い出す歌から始まる。高校生の真理子は、人気者の文男に恋を打ち明けられずにいた。そんな真理子をじれったく思う裕子は恋の秘訣をアドバイス。真理子は意を決して文男にアプローチ、ついに両想いとなる。一方の裕子もスキー場で出会った徹と付き合うことになり、 2組のカップルは学校のカフェテリアや夏の海辺、ドライブにスキーと、輝く季節を共に過ごすのだった。この日のバージョンは、真理子役は華原朋美。華原のきらきらと伸びのある歌声と、池田の表情豊かでソウルフルな歌声とが、生だけが持つ迫力で劇場全体を震わせる。セリフがないという制約も、「一つひとつの歌詞がドラマチックなので、役の気持ちは充分に伝えられると思う」(池田)という通り、歌詞の行間を表情と体いっぱいで埋めながら歌い継いでゆく二人の姿が印象的だ。舞台上には水彩で塗ったようなブルーの装置と、上部にノートを形どった白いパネルを設置。ここがスクリーンとなって歌詞が流れるので、観客も名曲の数々を一緒にくちずさめる。ファンに人気の高い「グループ」をメインに、「中央フリーウェイ」、「卒業写真」などのヒット曲のほか、華原自身もお気に入りという「青いエアメイル」、「やさしさに包まれたなら」など、聴けば懐かしく思い出される歌が次々に登場。客席の興奮も自然と高まっていった。

物語の後半は、社会人として忙しく過ごす真理子と文男が疎遠になり、新たな恋模様が繰り広げられる。この頃にはすっかり舞台上の物語と歌に没頭する様子の客席。おそらく観客の脳裏には、それぞれの曲を聴いていた頃の自分の姿が映し出されているのだろう。そのことを可能にしたのはやはり、華原、池田らキャスト陣の力量。ユーミンの曲を、ユーミン以外の歌手が魅力的に歌うことで、改めてその普遍性を感じる結果となった。さらに舞台中央で演奏を続け、演者とパワフルなセッションを繰り広げたバンドの面々にも拍手。プロフェッショナルなステージングに心地よく酔える、ユーミンファン必見の舞台となった。